食品の転売は違法?販売に許可・届出・資格は必要なのかを調べてみた

埼玉銘菓「十万石まんじゅう」が、メーカーの公式販売価格より高い値段でインターネット上に転売されている問題がYahoo!ニュースで報じられました。十万石まんじゅうを販売する十万石ふくさやも、インターネット上で同社商品の無断転売が確認されているとして注意を呼びかけています。販売後の保管状況や管理状態を確認できないため、転売された商品の品質や安全性は保証できないとしています。このニュースを読んで私が疑問に思ったのは、「食品は自由に転売してもよいのか?」ということです。そこで、食品の転売は法律上どのように扱われるのか、販売する際に許可や届出、資格が必要になるのかを調べ、中古品の売買で関係する古物商許可との違いもあわせて整理しました。

  • 食品の転売は違法なの?
  • 食品を販売するには許可や届出が必要?
  • 食品を転売するのに資格は必要?
  • 食品の転売で注意したいのは価格だけではない
  • フリマやネット通販なら食品を自由に売れる?
  • 食品の転売は「誰が管理した商品なのか」も確認したい
食品を選ぶ際は転売品かどうかだけでなく販売者や保管状態まで確認することが大切
食品を選ぶ際は転売品かどうかだけでなく販売者や保管状態まで確認することが大切
2026年9月5日

食品の転売は違法なの?

食品の転売そのものを一律に禁止する一般的な規定は確認できない

食品を購入して第三者に転売する行為そのものを、一律に禁止する一般的な規定は確認できません。「転売だから違法」ということではなく、何を、どのような方法で販売するのかによって関係するルールが変わります。

食品衛生法では「営業」を、業として食品を製造、加工、調理、貯蔵、運搬、販売することなどと定義しています。つまり、自分で食品を製造する事業者だけではなく、食品を業として販売する事業者も食品衛生法の対象になります。

今回、十万石ふくさやはインターネット上で確認された無断転売を「不正転売」と表現しています。しかし、メーカーが認めていない転売であることと、その行為が法律に違反していることは分けて考える必要があります。

食品なら自由に転売できるわけではない

食品の転売そのものが一律に禁止されていないからといって、どのような状態の食品でも自由に販売できるわけではありません。

食品衛生法第5条では、販売する食品の貯蔵や運搬などを清潔で衛生的に行うことを求めています。また、第6条では、腐敗・変敗した食品や、病原微生物に汚染されて人の健康を損なうおそれがある食品などの販売を禁止しています。

そのため、食品の転売を考えるときには「転売できるか」だけではなく、「食品として適切に保管・管理しながら販売できるか」という点も重要になります。

食品を販売するには許可や届出が必要?

営業許可・営業届出・届出不要に分かれる

食品を販売するときに必要な手続きは、扱う食品や営業内容によって異なります。埼玉県の営業許可制度・営業届出制度を確認すると、大きく整理して、営業許可が必要な営業、営業届出が必要な営業、届出が不要な営業があります。

営業許可 公衆衛生への影響が大きく、食品衛生法で許可の対象とされている営業
営業届出 許可業種ではないものの、届出不要となる営業にも該当しない場合
届出不要 公衆衛生への影響が少ないと定められた一部の営業

たとえば、菓子を製造して販売する菓子製造業は営業許可の対象です。一方、すでに製造・包装された食品を仕入れて販売する場合は、食品の種類や販売方法によって営業届出の対象になることがあります。

埼玉県は届出が不要な例として、「常温で長期間保存しても腐敗・変敗などによる食品衛生上の危害が発生するおそれがない包装食品」の販売業を挙げています。反対に考えると、すべての包装食品が自動的に届出不要になるわけではありません。

営業許可と営業届出のどちらに該当するのか分からない場合は、営業所を管轄する保健所へ確認するのが確実です。

仕入れた食品をそのまま売る場合はどうなる?

今回のような食品の転売を考えるうえで気になるのが、メーカーが作った商品を購入し、開封や加工をせずにそのまま販売する場合です。

完成した食品を仕入れて販売するだけなら、必ず食品製造の営業許可が必要になるわけではありません。しかし、食品衛生法では許可業種以外にも営業届出制度があり、届出不要とされる営業に該当しなければ届出が必要になります。

そのため、「自分では食品を作っていない」「未開封の商品を転売している」という理由だけで、行政上の手続きがすべて不要とは判断できません。

特に、常温で長期間保存できる食品ではなく、品質が変化しやすい食品や温度管理が重要な食品を継続して販売する場合は、どの営業区分に該当するのかを確認する必要があります。

なお、今回報道された十万石まんじゅうの転売業者について、営業届出などが必要だったのか、実際に届出をしていたのかは確認できません。営業場所や具体的な営業形態などによって判断が変わるため、記事の情報だけから食品衛生法上の手続きに問題があったと断定することはできません。

食品を転売するのに資格は必要?

食品衛生責任者が必要になる場合がある

「食品を販売するなら何か資格を取らなければならないのでは?」という疑問もあります。

食品を販売する人全員が、同じ資格を取得しなければならない制度ではありません。ただ、営業許可や営業届出の対象となる施設では、原則として食品衛生責任者を設置する必要があります。

食品衛生責任者になれるのは、調理師、製菓衛生師、栄養士など一定の資格を持つ人のほか、都道府県知事などが行う、または適正と認める養成講習会を受講した人などです。

ここで注意したいのは、「食品を売る人本人が必ず食品衛生責任者の資格を取得する」という意味ではないことです。対象となる施設に、要件を満たした食品衛生責任者を置く仕組みです。

また、常温で長期間保存でき、食品衛生上の危害が発生するおそれがない包装食品だけを販売する営業など、食品衛生責任者を設置しなくてよい営業もあります。

中古品の古物商許可とは仕組みが違う

転売と聞くと、中古品を仕入れて継続的に売買する場合などに必要となる古物商許可を思い浮かべる人もいるでしょう。私も今回のニュースを見て、「中古品の転売には古物商許可があるのに、食品はどうなっているのだろう」と疑問に感じました。

古物営業法は、盗品などの売買を防止し、早期発見につなげることなどを目的とした制度です。警察庁が示している古物の区分は、美術品類、衣類、時計・宝飾品類、自動車、書籍、金券類など13区分で、食品は含まれていません。

そのため、食品を転売するという理由で古物商許可を取得する仕組みにはなっていません。

古物を仕入れて売買する営業など 古物営業法・古物商許可
食品 食品衛生法・営業許可・営業届出など

同じ「転売」でも、販売する商品によって確認すべき法律や制度が違います。

食品の転売で注意したいのは価格だけではない

メーカーが確認できない保管・管理状態が問題になる

埼玉銘菓「十万石まんじゅう」を販売する十万石ふくさやは2026年8月30日、インターネット通販で同社商品の無断転売が確認されているとして注意を呼びかけました。

同社は、転売された商品について販売後の保管状況や管理状態を確認できないため、品質や安全性を保証できないと説明しています。また、賞味期限や商品の状態が公式販売商品と異なる場合があるとしています。

今回のニュースで重要なのは、メーカーより高い価格で転売されていることだけではありません。メーカーから一度離れた食品が、その後どのように保管・管理されたのかをメーカー側で把握できなくなることも問題になります。

賞味期限内でも保管方法は重要

食品に賞味期限が表示されていれば、その日までは保管状態に関係なく品質が保たれるという意味ではありません。

消費者庁は、賞味期限や消費期限について、表示された保存方法に従い、未開封の状態で保存した場合を前提とする期限だと説明しています。

つまり、賞味期限の日付だけを確認しても、それまで適切な環境で保管されていたかどうかまでは分かりません。

メーカーや公式に案内されている販売先から購入する場合は、メーカーが認めている販売経路から商品を購入できます。第三者を経由する場合は、その途中の保管状況を購入者から確認しにくくなる点を考えておく必要があります。

フリマやネット通販なら食品を自由に売れる?

通販サイトのルールと法律は別に考える

フリマサイトや通販サイトに食品を出品できることと、法律上必要な手続きをすべて満たしていることは別の問題です。

オンライン上に商品ページがあるというだけでは、その販売者がメーカーの正規販売店なのか、食品衛生法上必要となる手続きをしているのか、商品がどのように保管されているのかまでは判断できません。

各サービスには食品の出品に関する独自のルールがありますが、プラットフォームの利用規約と食品衛生法などの法令は分けて考える必要があります。

また、食品衛生法が対象とする「営業」は、業として食品を販売する場合です。個人が一度だけ食品を出品したケースと、仕入れた食品を継続的に販売するケースを同じものとして扱えるとは限りません。具体的なケースで営業届出などが必要か判断できない場合は、管轄保健所への確認が必要です。

購入するときは販売者と公式販売先を確認する

食品をネットで購入するときは、商品名だけではなく「誰が販売しているのか」を確認したいところです。

購入前に確認したいこと

  • メーカー自身が運営する公式サイトか
  • メーカーが正規販売先として案内している店舗か
  • 実際の販売者名は誰になっているか
  • 商品に指定された保存方法が守られる販売・配送方法か
  • 賞味期限や消費期限を確認できるか
  • 公式価格と大きく違っていないか

十万石ふくさやも、公式に販売しているインターネット通販サイトを自社サイトで案内しています。検索結果や通販サイトで商品を見つけた場合でも、購入前にメーカー公式サイトを確認すれば、正規の販売先か判断する材料になります。

食品の転売は「誰が管理した商品なのか」も確認したい

高値かどうかだけでは食品転売のリスクは判断できない

私は、食品の転売では「定価より高いから問題」という見方だけでは不十分だと考えます。

衣類や雑貨と食品の大きな違いは、時間や温度、保管環境によって商品の状態が変わる可能性があることです。同じパッケージの商品であっても、メーカーや正規販売店から直接購入したものと、第三者の手元を経由したものでは、購入者の手元に届くまでの経路が異なります。

さらに、購入者が最初に目にするのは商品のメーカー名です。メーカーが管理していない流通経路で商品の状態に問題が生じても、購入者がメーカーの商品そのものに不信感を持つ可能性があります。

転売をすべて同じ問題として考えるのではなく、食品では「誰が、どのような環境で管理してきた商品なのか」という視点が特に重要ではないでしょうか。

価格が安いか高いかだけではなく、正規の販売先なのか、保存や管理の経路を信頼できるのかまで確認することが、食品をネットで購入するときの判断材料になると私は考えます。