値段そのまま!ワクワク増量中 つい買っちゃうローソンの「盛りすぎチャレンジ」
ローソンが2023年から始めた「盛りすぎチャレンジ」キャンペーンが好調です。通常商品を価格据え置きのまま重量や具材を増やすという内容で、1店舗あたりの客数が前年比5%増という成果も出ています。2025年6月3日からは第5回がスタートし、今回は50周年にちなんで50%増量・全41品という過去最大規模。物価高の中、企業側のコスト負担も大きいはずなのに、なぜこれを続けるのか?という点が注目され、担当者インタビューでは「お得感に加え、ワクワク感を届けたい」「売上以上の価値がある」といった熱意が語られています。この記事では、このユニークな取り組みの背景や、経済的視点からの意味を深掘りします。
- 「コスパ」だけじゃない、"話題性"こそが経済を動かす時代
- 感情に訴えるマーケティングが主流に
- どうして"増量キャンペーン"が注目されるのか
- 「インフレ時代」の生活者心理
- ローソンが伝えたい"思い出づくり"
- 原価が上がっても続けられる理由
- 盛りすぎチャレンジ」だけじゃない!他社のユニークなキャンペーン

「コスパ」だけじゃない、"話題性"こそが経済を動かす時代
感情に訴えるマーケティングが主流に
近年、企業のマーケティング戦略は「安さ」や「量」だけでは勝負できなくなっています。むしろ、消費者の「気持ち」をどう動かすかが重視されるようになっています。今回の「盛りすぎチャレンジ」は、まさに"話題性"と"体験"を重視したキャンペーンです。
価格を据え置いたままボリュームを増やすのは、一見するとコストがかさみ赤字になるように思えますが、実はこれが大きな集客装置になっています。SNSでの拡散、店頭での目立つ存在感、そして「おもしろい」「すごい」といった感情の共有が、自然とローソンへの注目を集め、顧客の再来訪を促しているのです。
こうした戦略は、広告費をかけて宣伝するよりも費用対効果が高い場合があります。企業にとって「消費者が話題にしてくれること」そのものが最大の広告になるからです。もはや「良い商品を出せば売れる時代」ではなく、「良い体験を生み出せば選ばれる時代」なのかもしれません。
どうして"増量キャンペーン"が注目されるのか
「インフレ時代」の生活者心理
物価高が続く今「少しでも得したい」という気持ちが強まっています。そのため"お値段据え置き+増量"は直感的に歓迎されやすい仕掛けになっています。
たとえ少しの増量でも、「今だけ」「特別」といった付加価値が加わると、人はそれに惹かれやすくなります。いわば"節約感覚"と"お祭り感覚"が一体となった仕掛けが、この「盛りすぎチャレンジ」なのです。
そしてSNS世代にとっては、「話題にできるもの」「写真映えする商品」は実用性以上に重要だったりもします。値段と量だけでなく、会話のネタになるという点が、今の消費においては大きな武器になっています。
ローソンが伝えたい"思い出づくり"
企業は利益だけを追っているわけではありません。ローソンがこのキャンペーンを継続する理由として、「笑顔」「喜び」「シェアされる楽しさ」が挙げられています。これらは数値で測れないけれど、ブランディングとしては非常に重要な価値です。
たとえば、家族でシェアするために買ったプレミアムロールケーキ。ボリュームに驚いた子どもの笑顔。そうした"ちょっとした幸せ"の積み重ねが、「またローソンに行こうかな」という次の行動につながっていきます。
一度きりの売上ではなく、"記憶に残る体験"を提供しようとする姿勢は、今後の小売業がますます意識すべき視点だと思います。
原価が上がっても続けられる理由
気になるのは、原材料費や物流コストが上がっている中で「増量なんて本当にできるの?」という疑問。実はそこには、地道な企業努力が隠れています。容器の見直し、盛り付けの工夫、仕入れ単位の最適化など、目に見えないコスト削減が積み重なっているのです。
さらに、増量商品の販売によって店内全体の売上が伸びれば、他の商品への波及効果も期待できます。そうなると、単品での採算が取れなくても、トータルで見るとプラスになる可能性もあるのです。
つまり、「盛りすぎチャレンジ」は見かけの"量の多さ"だけでなく、企業の裏側の知恵と努力が詰まった企画でもあるんです。
「盛りすぎチャレンジ」だけじゃない!他社のユニークなキャンペーン
こうした"お値段そのまま増量"企画は他社でも実施されています。セブン-イレブンは「お値段そのまま!人気商品増量祭」、ファミリーマートは「お値段そのまま!! 40%増量作戦」と、いずれも名称や増量率で個性を打ち出しています。
しかしローソンの特徴は「ただ量を増やす」だけでなく、商品名・見た目・記念性まで含めて「体験型」にしている点です。とくに「47%増量」や「50周年記念50%増量」といった語呂合わせは、覚えやすく、話題になりやすいポイントです。
これからの時代、価格や商品スペックだけでなく、「面白そう」「SNSに載せたい」と思わせる仕掛けが、ますます重要になってくるのかもしれません。