クレカが同人文化を揺さぶる日ー金融検閲と私たちの自由

「表現の自由」は守られているはずなのに、見えないところで削られていく現実。クレジットカード会社による"決済停止"という手段が、作品やサービスに重大な影響を与えはじめています。この記事では、オタク文化や創作活動を揺るがす「金融検閲」の実態と、その先にあるリスクについて考えます。

  • クレジットカード会社による規制強化が、オタク業界全体に影を落としている
クレカが同人文化を揺さぶる日ー金融検閲と私たちの自由【最近話題になっている経済ニュース】
2025/07/21

クレジットカード会社による規制強化が、オタク業界全体に影を落としている

成人向けコンテンツや同人誌を扱うオンラインサイトに対し、決済代行会社が契約解除やコンテンツ削除を求めるケースが増えているそうです。Visaなどの国際ブランドは規制を否定していますが、決済代行会社がリスク回避として過剰に対応している可能性があります。

また、明確な違法性がない場合でも、企業側の「契約の自由」として処理されるため、是正が困難です。この問題は、米国や日本を含む国際的な傾向であり、オタク業界全体に影響が及びつつあると記事は結んでいます。

お金の流れが変われば、文化の流れも変わる

クレジットカード会社の判断が、作品の公開や継続に直結する今の構造は、ちょっと怖いなと感じます。誰が"NG"と判断しているのかも不明な中で、作り手やサービス運営者がビクビクしながらコンテンツを選ぶようになると、クリエイティブな発信の幅が狭まってしまいますよね。

私たち消費者としても、いつのまにか「見られるもの」だけに囲まれて、「見られなくなったもの」の存在すら忘れていくかもしれません。お金の通り道が変わることで、文化の姿まで変わってしまう。そんな現実を今、少しずつ突きつけられている気がします。

「表現が不適切だから規制される」と聞くと、なんとなく納得してしまいそうになります。でも、その「不適切さ」は誰が、どんな基準で決めているのでしょうか? 実際に一部では、健全な恋愛漫画や創作小説、婚活系サイトにまで規制が及んだという話もあります。

となると、単なるエロ・グロの問題ではなく、「ちょっとでもセンシティブなテーマ」が、まとめて排除されてしまう可能性があるのです。 表現の自由と、社会的な安心のバランスをどう取るか。その問いに、もっと丁寧に向き合うべき時期なのかもしれません。

海外ではすでに問題化していた「金融による検閲」

日本ではまだ議論が活発とは言えませんが、アメリカでは数年前から「金融検閲(Financial Censorship)」という言葉が登場していました。特定の政治思想や社会的主張を掲げる団体が、クレジットカード会社や決済サービスから排除されるケースが相次ぎ、表現の自由との兼ね合いが問題視されてきたのです。

こうした「見えない圧力」は、法的にはグレーゾーンでも、実際には大きな影響力を持っています。日本でも、同じような課題がオタク文化という形で浮上してきたとも言えそうです。

実際にSteam(PCゲーム配信プラットフォーム)では、クレジットカード決済が停止されたケースが報告されています。これは一部のコンテンツが"成人向け"であることが原因とされていますが、国内ユーザーから見れば突然の決済不可は大きな混乱を招きますよね。

ゲームや漫画、同人誌のような「表現の自由」と密接に関わるジャンルほど、こうした事例の影響を受けやすくなります。 そして、これが一度「成功例」と見なされてしまえば、他のジャンルへの波及も懸念されます。自分が日常的に楽しんでいるコンテンツが、ある日突然使えなくなるかもしれない。そう考えると、決して他人事ではありません。