コンビニの外国人店員は補助金目的?時給と24時間営業から人手不足を考える

コンビニで外国人店員を見かける機会が増え、「外国人を雇うと補助金が出るから採用しているのでは」と疑問に感じる人もいると思います。実際、外国人を雇用する事業主が利用できる国の助成制度はあります。2026年10月1日には制度内容も改正されました。制度を確認すると、助成の対象は外国人の採用人数ではなく、外国人が働き続けやすい環境を整える取り組みです。

外国人にも最低賃金は適用され、国籍を理由に賃金を低く設定できる仕組みはありません。それでも、なぜコンビニでは外国人の採用が広がっているのでしょうか。補助金だけでなく、コンビニの時給、24時間営業、仕事量まで見ると、日本人を含めた人手不足の構造が見えてきます。

  • コンビニで外国人を雇うと補助金が出る?
  • 外国人なら日本人より安い時給で雇えるのか
  • 人口が減っているのに、なぜ24時間営業を続けるのか
  • 時給を上げ、仕事を減らせば日本人は戻ってくるのか
  • 外国人店員が増えた問題から見える、コンビニの本当の課題
コンビニのレジを利用する女性。外国人雇用の補助金だけでなく、バイト時給や24時間営業など、コンビニの人手不足を支える条件にも目を向けます。【最近話題になっている経済ニュース】
コンビニのレジを利用する女性。外国人雇用の補助金だけでなく、バイト時給や24時間営業など、コンビニの人手不足を支える条件にも目を向けます。
2026年10月3日

コンビニで外国人を雇うと補助金が出る?

補助金の対象は外国人が働き続けられる環境づくり

厚生労働省には「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」があります。名前だけを見ると、外国人を採用した企業に支給される制度のようにも感じますが、助成の目的は外国人が職場に定着できる環境を整えることです。

2026年10月1日の改正後は、外国人労働者を雇用している事業主が就労環境整備計画の認定を受け、雇用労務責任者を選任します。就業規則または労働協約、労働条件通知書または雇用契約書、社内マニュアルをそれぞれ1種類以上多言語化することも要件です。

雇用労務責任者には講習の受講や、外国人労働者との3か月ごとに1回以上の面談、苦情や相談への対応などが求められます。計画期間終了後の6か月間で算定する外国人労働者の離職率は原則15%以下とされています。

改正後の支給額は20万円です。上乗せ措置として一時帰国のための休暇制度まで整備すると、25万円になります。厚生労働省が示している金額は「外国人1人につき25万円」ではなく、就労環境整備の要件を満たした場合の支給額です。

外国人なら日本人より安い時給で雇えるのか

最低賃金は外国人にも同じように適用される

日本国内で働く外国人には、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令が原則として適用されます。厚生労働省も外国人労働者に関する資料で、労働基準法第3条により、国籍を理由として賃金や労働時間などの労働条件で差別的な取り扱いをすることは禁止されていると説明しています。

そのため、同じ地域で働く外国人だけに低い最低賃金を設定する制度はありません。最低賃金が時給1,200円の地域なら、日本人にも外国人にも同じ最低ラインが適用されます。

経営する側から見れば、人件費は店舗運営の大きなコストです。低い時給で人を確保できれば利益は残りやすくなります。外国人だから特別に安い最低賃金を使えるわけではなく、実際の採用では、その店が提示する時給や勤務時間で働く人を確保できるかが問題になります。

コンビニの時給そのものが人材確保の競争条件になる

コンビニの人手不足と時給については、以前から課題が指摘されていました。経済産業省が2019年に実施したコンビニ従業員アンケートでは、パート・アルバイト・派遣403人の64.7%が「人手不足」を運営上の課題として挙げています。「時給の低さ」は26.1%、「提供するサービスの過剰さ」は21.6%でした。

この調査は2019年当時の状況を示す資料です。当時すでに、時給の低さやサービスの多さが、人手不足と並ぶ課題として意識されていたことが分かります。その後、各地の最低賃金は大きく上昇しました。

ここで考えたいのは「外国人なら安く働くか」より、「提示された時給でコンビニの仕事を選ぶ人がどれだけいるか」です。求職者はスーパー、飲食店、倉庫、ドラッグストアなど、通える範囲にある別の仕事とも比べます。

人口が減っているのに、なぜ24時間営業を続けるのか

24時間営業をやめる選択肢もすでにある

総務省の人口推計では、2026年9月1日時点の日本の総人口は概算で1億2,265万人となり、前年同月より54万人減っています。人口が減る中で、人が集まりにくい時間帯まで全国の店舗が同じ営業時間を維持する必要があるのかという疑問が出てきます。

人が集まりにくいなら、深夜を閉めれば必要な勤務時間を減らせます。実際、大手コンビニでも時短営業の仕組みは導入されています。ファミリーマートは2020年から、加盟者が本部と事前に協議したうえで時短営業を選ぶ制度を本格的に始めました。

24時間営業には加盟店側の金銭的な条件もある

ファミリーマートの現在の加盟店支援制度では、24時間営業店舗に年間144万円の「24時間営業分担金」を支払っています。最低賃金の上昇率に合わせて、24時間営業調整額を増額する仕組みも設けています。

セブン‐イレブンの現行Cタイプ契約でも、24時間営業店と非24時間営業店でチャージの減額条件が異なります。月の売上総利益が550万円以下の店舗では、24時間営業店の減額が月額20万円、非24時間営業店は月額7万円と示されています。売上総利益が550万円を超える店舗には別の計算方法があります。

これらは国や自治体から支払われる外国人雇用の補助金ではなく、コンビニ本部と加盟店の間で設けられている契約・支援制度です。深夜の売上、人件費、光熱費、廃棄などを含めた実際の損益は店舗ごとに変わります。

時給を上げ、仕事を減らせば日本人は戻ってくるのか

コンビニはレジだけの仕事ではなくなった

コンビニでは、レジ操作に加えて多くの仕事を覚える必要があります。

店舗では宅配便、公共料金、ATM、チケット販売などのサービスも扱っています。

コンビニは、商品を売る小売店から、支払い、物流、金融、各種手続きまで扱う生活サービスの拠点へと役割を広げてきました。それに伴い、店員が対応する範囲も増えています。最低賃金が上がったとしても、求職者は「1時間いくらか」と「その1時間に何をするのか」を一緒に見ます。

小型スーパーと比べると仕事と時給の違いが見える

千葉市内で、コンビニとは別の小売業と比べてみます。2026年10月2日に確認した、千葉市内のまいばすけっとの求人では、募集時給は1,330円からです。公式採用サイトでは主な仕事を「レジ・品出し・接客・清掃」の4つと説明しています。

同日の千葉市内のローソンの求人では、9時から17時を1,195円で募集していました。千葉県の最低賃金と同額です。この求人では、仕事内容としてレジ、接客販売、商品陳列、品出し、清掃、簡単な調理などが挙げられています。

この2求人だけで、コンビニと小型スーパー全体の待遇差を決めることはできません。店舗、時間帯、地域によって条件は変わります。求職者が実際に仕事を探す場面では、近くに「時給が高く、覚える業務を絞っている求人」があれば、コンビニ側も同じ人材を取り合うことになります。

では、コンビニの時給を上げれば日本人の応募がどれだけ増えるのでしょうか。参照した公的資料からは、時給を何円上げると日本人応募者が何人増えるかという因果関係までは分かりません。過去の経産省調査では時給の低さとサービスの多さが課題として挙げられ、現在も求職者には近隣の別業態という選択肢があります。

外国人店員が増えた問題から見える、コンビニの本当の課題

補助金より、誰がこの条件で働くのかが問われている

ここまで確認した制度を見ると、「外国人を雇えば人数に応じて補助金が増え、日本人より安く雇えるから外国人店員が増えた」という説明を支える仕組みは確認できませんでした。この助成金は就労環境の整備が対象で、外国人にも最低賃金と労働基準法が適用されます。

コンビニの人手不足について残る論点は、長い営業時間、多くのサービス、地域の最低賃金に近い求人、他業種との採用競争です。外国人が担っている勤務時間や仕事量は、日本人やオーナー、家族が担うか、省人化設備の導入や営業時間の短縮によって減らすことになります。

私は、人口が減っている中で、すべての店が同じ形の24時間営業と多くのサービスを維持する前提は見直してよいと考えます。深夜にも利用者が多い店は24時間営業を続け、需要が少ない店は営業時間を短くします。人を確保したい店は仕事内容に見合う時給を提示し、セルフレジなどで減らせる作業は機械に任せます。地域や店舗ごとに組み合わせを変える方法があります。

外国人店員の増加は、私たちが使っている便利なコンビニを、これから誰がどの条件で支えるのかという問題でもあります。24時間いつでも利用でき、多くのサービスを受けられる便利さには、それを担う人の時間と人件費がかかっています。