ファミチキ買いに行ったら、リセッシュ3本持ってた件

X(旧Twitter)で注目を集めた、あるコンビニの「発注ミス」の対応が話題になっています。投稿者が都内で目にしたのは、消臭スプレー「リセッシュ」が大量に並ぶ棚と、それに添えられたユーモアたっぷりの手書きポップ。「発注ミスってたくさんあるんです」と正直に伝えたうえで、「リセッシュして快適に過ごそう」と呼びかけています。投稿者自身もファミチキを買うつもりが、思わずリセッシュを3本購入してしまったとのこと。この一連の対応は、1.4万件以上の「いいね!」を集め、発注ミスという一見ネガティブな出来事を前向きな販促に変えた機転として、多くの人の注目を集めました。

  • 「ミス」を「チャンス」に変えるお店の知恵
  • そもそも「発注ミス」ってどう起こる?
ファミチキ買いに行ったら、リセッシュ3本持ってた件【今日の経済ニュース】
2025/05/29

「ミス」を「チャンス」に変えるお店の知恵

ピンチの時ほど、お店の"人間力"が問われる

今回の事例で注目すべきなのは、単なる「在庫処分」の工夫にとどまらず、お店の誠実さや機転が、顧客の心をつかんだ点です。企業のブランディングには多額の広告費がかかることがありますが、手書きポップが消費者の共感を呼ぶこともあります。

消費者は、完璧な対応よりも「人間らしさ」や「等身大の努力」に親しみを感じます。だからこそ、「発注ミスしました」と正直に伝えたうえで、ちょっと笑える一言を添える姿勢が「なんか応援したくなるな」と感じさせるのでしょう。

これは、経済ニュースとして見れば「販促戦略の好事例」ですし、心理学的には「自己開示とユーモア」が信頼形成に役立つことを示す一例でもあります。いまやモノがあふれる時代、モノそのものよりも「どんな人が、どんな想いで売っているか」が、購入行動に影響を与える時代なのです。

そもそも「発注ミス」ってどう起こる?

コンビニの発注システムの仕組み

多くのコンビニでは、日々の商品発注を店舗スタッフが行っています。専用の端末で数量を入力し、時間までに本部に送信。これが物流センターに伝わり、翌日には商品が届くという流れです。

ところが、数量の入力ミス、売れ行きの見誤り、キャンペーンや天候による需要変動など、さまざまな要因で「意図しない大量入荷」が起こることがあります。

さらに、新人スタッフが慣れないうちに操作してしまった場合なども、よくある要因のひとつです。

返品できないの? 在庫処分の現実

コンビニの商品は基本的に「返品不可」です。発注した商品は、売れなければ店舗の損失になります。特に日用品や食品は劣化も早いため、すぐに販促施策を講じる必要があります。

一部の大手コンビニでは、あまりに極端な発注ミスに対しては支援制度がある場合もありますが、基本は店舗の自己責任です。そのため、今回のような「アイデアで売り切る工夫」が必要になるのです。

こうした工夫の積み重ねが、店の売上やお客さんとの関係にも大きな差を生んでいきます。

手書きポップが消費行動を変える理由

手書きのポップやメッセージは、視覚的な親近感や信頼感を生むと考えられています。無機質なプリントよりも、「人が書いた」とわかる情報の方が、購買につながるという研究結果もあります。

また、ちょっと笑えるユーモアのある文章や、正直なエピソードは、顧客に「このお店を応援したい」という感情を生む要素となります。

つまり、商品そのものではなく、「言葉の力」で売れる時代が、いま現実になっているのです。

SNS時代のクチコミ効果と「共感消費」

今回の出来事がXでバズったように、SNSがひとつの「メディア」になっている時代では、小さな店頭の努力が大きな話題になることがあります。これは「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」による拡散効果です。

そして、このような「共感」による消費行動は「共感消費」とも呼ばれ、特に若い世代に強い影響を与えます。企業広告よりも、等身大のストーリーに人は惹かれるのです。

つまり、これからの販促は「失敗も含めてストーリーに変える力」がますます重要になっていくといえるでしょう。