ウォークマンのメリットは?スマホやYouTubeで音楽を聴ける時代に買う理由
スマホやYouTubeで好きな音楽を手軽に楽しめる今、わざわざ数万円を出してウォークマンを買う人がいるのでしょうか。かつて音楽を持ち歩くことに憧れた世代にとっても、携帯音楽プレーヤーの存在は以前ほど身近ではなくなりました。ところが、現在もウォークマンは販売されており、国内の携帯音楽プレーヤーの売上ランキングでは上位に入っています。さらにソニーは2026年10月、約65万円の高級モデルを発表しました。スマホとウォークマンでは何が違い、購入者はどのようなメリットを求めているのでしょうか。現在の販売状況や利用目的、YouTubeや音楽サブスクとの関係から、音楽専用機が選ばれる理由を探ります。
- ウォークマンは今でも売れている?価格と購入者の用途
- 一般向けウォークマンはいくらで買える?
- 販売ランキングから分かる現在の需要
- 誰が何のためにウォークマンを購入している?
- スマホと比べたウォークマンのメリットとは?
- 同じ音楽でも音質に違いが出る理由
- バッテリーや操作性はどのくらい違う?
- CDや購入した楽曲を持ち歩くメリット
- ウォークマンでYouTubeや音楽サブスクを利用するメリット
- ウォークマンでYouTubeやYouTube Musicは使える?
- スマホで聴く場合と何が違う?
- 65万円の高級ウォークマンは何が違う?
- 一般向けウォークマンとの価格・技術の違い
- 高級DAPを購入する人は何を求めている?
- 筆者の考察|スマホ時代に音楽専用機は必要なのか

ウォークマンは今でも売れている?価格と購入者の用途
一般向けウォークマンはいくらで買える?
1979年に登場したカセット式ウォークマンは、その後CD、MD、デジタル音楽プレーヤーへと進化し、現在もソニーの製品として販売されています。スマートフォンの普及で音楽を聴く方法は大きく変わりましたが、現在のウォークマンは高音質再生と音楽配信サービスへの対応を組み合わせた機器になっています。
一般向けモデルの代表が、2023年に発売されたA300シリーズです。32GBの「NW-A306」は46,200円、64GBの「NW-A307」は57,200円で販売されていましたが、2026年に入って生産完了やソニーストアでの販売・入荷終了が進んでいます。どちらもAndroidを搭載し、Wi-Fi接続や音楽配信アプリに対応しています。
現在のA300シリーズについては、ソニー公式サイトの「NW-A300シリーズ」で仕様や機能が紹介されています。
| モデル | 本体容量 | 価格(税込) |
| NW-A306 | 32GB | 46,200円 |
| NW-A307 | 64GB | 57,200円 |
※ソニーストアに掲載された価格。2026年10月時点で生産完了・販売終了が進んでおり、購入できる在庫は販売店によって異なります。
本体には3.5mmのイヤホン端子があり、有線イヤホンとBluetooth対応のワイヤレスイヤホンの両方を使用できます。スマホのようなタッチ操作に加え、本体側面のボタンでも音量や曲の再生を操作でき、重さは約113gです。
それでも4万~6万円という価格を見ると、スマホとは別に購入する理由が気になります。
販売ランキングから分かる現在の需要
現在もウォークマンが売れていることは、家電量販店などの実売ランキングから確認できます。
家電量販店やネットショップの販売データを集計するBCNの「2026年9月に売れた携帯オーディオTOP10」では、ソニーのウォークマンAシリーズ「NW-A306」が3位、「NW-A307」が4位、Sシリーズ「NW-S313」が6位に入りました。
2026年8月はNW-A306が1位、NW-A307が3位、NW-S313が5位でした。さらにNW-A306は、8月まで4か月連続で首位を維持しており、発売から3年以上経過したA300シリーズが現在も購入されていることが分かります。
| 製品 | 2026年8月 | 2026年9月 |
| NW-A306 | 1位 | 3位 |
| NW-A307 | 3位 | 4位 |
| NW-S313 | 5位 | 6位 |
※BCNランキングの携帯オーディオ部門におけるシリーズ別実売台数順位。
2026年9月には、グリーンハウスのMP3プレーヤーが1位と2位を獲得しています。携帯音楽プレーヤー市場には、数万円を支払って高音質を求める利用者に加え、比較的安価な製品で保存済みの音楽を楽しみたい利用者もいると考えられます。
ここで気になるのが市場全体の規模です。BCNの公表ランキングから分かるのは、調査対象店舗での販売順位であり、ウォークマン単独の年間販売台数や売上高については、今回確認した公開資料から具体的な数字を得られていません。
それでも、スマホが音楽再生の中心になった2026年に、ソニーの複数の製品が継続して上位に入っている事実は、音楽専用機を求める購入者が現在も存在することを示しています。
誰が何のためにウォークマンを購入している?
では、どのような人がウォークマンを購入しているのでしょうか。購入者がどの年代に多いのかを示すデータは確認できませんでしたが、製品の機能や購入者の声から、利用目的をいくつかに分けることができます。
まず考えられるのが、通勤・通学中に長時間音楽を聴く人です。往復2時間の通勤で毎日音楽を流している場合、専用プレーヤーがあればスマホは連絡や決済、地図などに使い、音楽は別の端末に任せることができます。スマホを操作している間も音楽再生を独立させたい人にとって、使い分ける理由があるでしょう。
次に、CDやダウンロード購入した楽曲を数多く持っている人です。昔集めたアルバム、音楽配信サービスで扱われていない曲、特定のアーティストの作品を保存して聴く人なら、音楽専用のライブラリーを持つことに利便性を感じるかもしれません。
音質を重視する人も購入者として考えられます。有線イヤホンやヘッドホンを使い、ボーカルの細かな表現、楽器の位置、低音の質感などにこだわる人にとっては、再生機器そのものが趣味の対象になります。
また、以前からウォークマンを使い続け、古くなった本体を買い替える人もいます。ソニーの購入者レビューには、過去のAシリーズから新しいモデルへ乗り換えた利用者の声があり、慣れ親しんだ操作性や音楽の管理方法を引き継げることも購入理由の一つと考えられます。
スマホと比べたウォークマンのメリットとは?
同じ音楽でも音質に違いが出る理由
ウォークマンを選ぶ理由として、まず挙げられるのが音質です。スマホでも高音質の音楽を再生できますが、ウォークマンには、音楽を再生するための回路や部品に専用機ならではの設計が採用されています。
デジタル音楽をイヤホンで聴く場合、音楽ファイルに保存されたデジタルデータを最終的に電気信号へ変換し、イヤホンの振動板を動かす必要があります。この過程には、音の信号を処理する回路、イヤホンを駆動するアンプ、電源などが関わり、それぞれの設計が再生音に影響します。
A300シリーズには、ソニーが開発したフルデジタルアンプ「S-Master HX」が搭載されており、有線イヤホンでの再生時にその性能を発揮します。さらに、電源回路やコンデンサー、基板の配置、イヤホン端子などにも音質を重視した部品を採用し、電気的なノイズを抑えながら音楽信号を再生する設計です。
A300シリーズではデジタル信号を扱う回路とアナログ信号を扱う回路を分離して配置し、互いの影響を抑えています。イヤホン端子も左右の音声回路で電気の基準となるグラウンドを分けられる構造を採用しており、ソニーは低音の締まりや音の広がりの改善につながると説明しています。
もう一つの特徴が「DSEE Ultimate」です。これは圧縮音源をAI技術で解析し、圧縮時に失われた高音域などを推定して補う音質向上機能で、ストリーミングサービスの楽曲にも対応しています。
音質を比較するときに重要なのは、音源・再生機器・イヤホンの3つの組み合わせです。
同じ楽曲でも、圧縮された音源とCD相当のロスレス音源では保存されている音の情報が異なります。さらに、同じ音源でもイヤホンの性能や再生機器の出力回路によって、聴こえ方に差が生じることがあります。
有線接続ではウォークマン内部のアンプや出力回路の特徴が直接関係し、Bluetoothイヤホンの場合は、音声データを無線で送信してイヤホン側で再生処理を行うため、音声データを圧縮・伝送する方式(Bluetoothコーデック)やイヤホン内部の回路も大きく関わってきます。
A300シリーズは高音質の無線伝送方式であるLDACにも対応しており、対応イヤホンと組み合わせることで、1秒間に送るデータ量を多くして音声を伝送できます。スマホにもLDACに対応した機種があるため、無線接続での違いは使用する機器の組み合わせによって変わります。
では、4万円台のウォークマンを購入すれば、誰でもスマホとの音質差を感じられるのでしょうか。ここには個人差があり、普段使っているイヤホン、音源、聴く環境によっても印象が変わります。音質を目的に購入するなら、普段聴いている楽曲とイヤホンを使って実機を比較すると、価格に見合う違いを感じられるかが分かるでしょう。
バッテリーや操作性はどのくらい違う?
音質以外にも、ウォークマンをスマホと使い分けるメリットがあります。その代表が、バッテリーと操作性です。
A300シリーズの連続再生時間は、ウォークマン標準の音楽再生アプリ「W.ミュージック」でMP3音源を再生した場合、最大約36時間。音楽配信サービスのアプリをオフラインモードで使用した場合は、最大約26時間となっています。
Bluetoothを使用すると持続時間は変わり、標準アプリでMP3(128kbps)をSBC接続で再生した場合は約21時間、FLAC(96kHz/24bit)の音源をLDAC接続で再生した場合は約11時間です。使用する音源や接続方式によって電池の減り方が異なります。
スマホでも音楽を長時間再生できますが、外出中には通話、メッセージ、地図、写真撮影、キャッシュレス決済などにもバッテリーを使います。旅行先で朝から音楽を聴き続ける場合、ウォークマンに再生を任せれば、スマホの電池を移動や連絡のために残しておけます。
操作面では、A300シリーズの本体側面に再生・一時停止、曲送り、音量調整などの物理ボタンがあるため、画面を開かずにポケットの中から操作できます。
スマホのように通知や着信が頻繁に入る環境から離れ、音楽を聴く時間を分けたいという使い方も考えられます。
持ち歩く機器が1台増えるため、荷物を少なくしたい人にはスマホ1台の方が便利でしょう。長時間の音楽再生や専用ボタンの使いやすさを優先する人には、2台を使い分けるメリットが生まれます。
CDや購入した楽曲を持ち歩くメリット
音楽配信サービスが普及する以前は、CDを購入したりレンタルしたりして、好きな音楽を集めることが一般的でした。現在も長年集めたCDや購入済みの音楽ファイルを持っている人にとって、ウォークマンはそれらを活用できる機器です。
A300シリーズでは、パソコンなどを通じてCDから取り込んだ音楽ファイルを本体へ転送でき、MP3やAAC、FLAC、WAVなど、さまざまな形式の楽曲を再生できます。
CDの音楽を劣化させずに保存したい場合には、FLACなどのロスレス形式を利用する方法があります。CDの音声情報を保ったまま保存できるため、お気に入りのアルバムを高音質で持ち歩きたい人に向いています。
本体容量が足りなくなった場合には、microSDカードを使って保存できる楽曲数を増やすことも可能です。数百枚のCDをデータ化して保存しておけば、アルバムを交換することなく、外出先で好きな曲を選んで再生できます。
また、音楽配信サービスでは契約状況や配信権利によって聴ける作品が変わることがあります。自分で購入した楽曲ファイルを保管しておけば、昔のアルバムや限定販売された作品なども、自分の音楽ライブラリーとして管理できます。
CDを集めていた世代にとっては、かつて棚に並べていたアルバムを、小さな機器にまとめて持ち歩けることも魅力の一つでしょう。
ウォークマンでYouTubeや音楽サブスクを利用するメリット
ウォークマンでYouTubeやYouTube Musicは使える?
Androidを搭載したA300シリーズでは、Google Playストアから対応アプリをインストールできるため、YouTubeやYouTube Music、Spotify、Apple Musicなどのサービスも利用できます。
動画サービスのYouTubeと、音楽配信サービスのYouTube Musicは何が違うのでしょうか。
YouTubeではミュージックビデオやライブ映像、一般ユーザーが投稿した動画などを楽しめます。YouTube Musicは音楽を聴くことを中心としたサービスで、アルバムやプレイリストを選んで再生でき、無料プランと有料プランが用意されています。
| サービス | 主な使い方 |
| YouTube | 音楽動画やライブ映像などを視聴する |
| YouTube Music 無料プラン | 広告付きで楽曲をストリーミング再生する |
| YouTube Music Premium | 広告なしの音楽再生、バックグラウンド再生、楽曲のオフライン保存などを利用する |
※YouTube Musicの機能は利用プランやコンテンツにより異なります。
ウォークマンのA300シリーズはWi-Fi接続に対応しているため、自宅のWi-Fiに接続してYouTubeや音楽配信サービスを利用できます。外出先でストリーミング再生したい場合は、スマホのテザリングやモバイルWi-Fiなどを利用する方法があります。
Wi-Fiがない場所でも聴けるようにしたい場合は、あらかじめ楽曲を本体へ保存しておきます。YouTube Music Premiumでは、楽曲やアルバム、プレイリストをオフライン用に一時保存でき、サービス側の利用条件に従って再生できます。
自宅で好きな曲を保存しておき、通勤中は通信せずに再生するという使い方なら、ウォークマンを音楽専用の端末として活用できます。
スマホで聴く場合と何が違う?
同じYouTube Musicを使うなら、スマホとウォークマンで音楽そのものが変わるのでしょうか。
まず、配信される音源の品質は、利用するサービスや設定によって決まります。YouTube Music Premiumでは、ストリーミング再生時の高音質設定として最大256kbpsのAACまたはOpus形式が案内されています。これはスマホでもウォークマンでも、同じサービスを使う場合の基本的な条件です。
ウォークマンでは、そこから先の音声処理に専用機の特徴が表れます。A300シリーズはストリーミング音源にもDSEE Ultimateを適用でき、圧縮された音源の情報を推定して補うことで、より豊かな音の再現を目指しています。
普段スマホでYouTube Musicを聴いている人が、ウォークマンでも同じアカウントを使って同じ楽曲を再生すれば、プレイリストや配信曲の内容は変わりません。有線イヤホンを使用する場合は、ウォークマンの音声出力回路や音質補正機能による違いを比較できます。
また、YouTube MusicやApple Musicなどの音楽配信サービスを利用する場合、プランによってはスマホ側でも楽曲を事前に保存し、通信せずに再生できます。外出先での通信量を減らすという目的は、スマホでも実現可能です。
65万円の高級ウォークマンは何が違う?
一般向けウォークマンとの価格・技術の違い
一般向けウォークマンが4万~6万円程度で販売される中、ソニーは2026年10月16日、高級ウォークマン3機種を発表しました。
最も高価な「NW-WM1ZM3」の国内市場推定価格は65万5,000円前後。中位モデルの「NW-WM1AM3」は34万7,000円前後、ZXシリーズの「NW-ZX900」は21万5,000円前後で、いずれも2026年11月27日に発売予定です。
価格と仕様については、ソニーのニュースリリース「アナログとデジタルの高音質技術を結集した"Signature Series"を含むウォークマン3機種を同時発売」で発表されています。
| モデル | 容量 | 価格(税込) |
| NW-ZX900 | 64GB | 約215,000円 |
| NW-WM1AM3 | 128GB | 約347,000円 |
| NW-WM1ZM3 | 256GB | 約655,000円 |
※価格は発売前の国内市場推定価格。
最上位モデルの特徴は、純度約99.99%の無酸素銅を削り出したメインシャーシと、金メッキを施した無酸素銅製のリアシャーシです。シャーシとは、内部の電子部品を支える本体の骨格部分を指します。ソニーは高い電気伝導性を持つ銅を採用し、グラウンドと呼ばれる電気回路の基準電位を安定させる設計を追求しています。
グラウンドの安定性は音声信号に混入するノイズや回路の動作に関係しており、ソニーはシャーシの構造や電源、オーディオ回路を改良することで、微細な音の再現や低音の質感、音が左右や奥行き方向に広がって聞こえる感覚(音場)を高めたと説明しています。
一般向けのA300シリーズにも、上位機で採用された音質技術を受け継いだ部品が使われています。高級モデルと比較すると材料や回路、構造に違いがありますが、ソニーが長年培ってきた音楽再生技術は複数の価格帯に展開されているのです。
高級DAPを購入する人は何を求めている?
65万円という価格を聞くと、音楽を聴く機器としては非常に高額に感じられます。ところが、高級オーディオの世界では、数十万円する携帯音楽プレーヤーが以前から販売されてきました。
このような機器は「DAP」と呼ばれます。Digital Audio Playerの略で、デジタル音源を再生する機器のことです。ウォークマンもDAPの一種ですが、高級DAP市場にはAstell&KernやFIIOなど、音質を重視した製品を展開するメーカーが存在します。
Astell&Kernの最上位モデル「A&ultima SP4000」は、日本で2026年10月から希望小売価格77万円となっています。素材や内部回路にこだわった高級モデルは、ソニー以外のメーカーからも発売されているのです。
こうした製品を選ぶ人は、イヤホンやヘッドホンにも費用をかけ、好きな音楽の細かな表現まで楽しみたいオーディオ愛好家だと考えられます。演奏中の小さな音、楽器の響き、ボーカルの距離感など、音の再現性を追求すること自体が趣味になる世界です。
また、高級オーディオには、素材の質感やデザイン、製品を所有する満足感という価値もあります。腕時計やカメラなどの趣味と同じように、性能を追求した製品を使うことに喜びを感じる人もいるでしょう。
こうして比較すると、65万円のウォークマンは一般的なスマホ利用者を対象とした価格設定ではなく、高級DAP市場で音質や所有する価値を求める人に向けた製品だと考えられます。
ソニーにとっては、音楽再生技術を追求するフラッグシップ製品を持つことが、ブランド全体の価値を高める狙いにもつながるでしょう。
筆者の考察|スマホ時代に音楽専用機は必要なのか
学生時代、ウォークマンは憧れの製品でした。ソニーのカセットテープにも種類があり、音質の良いメタルテープは高価で、なかなか手が出なかったことを覚えています。ウォークマンの本体には「NORM / METAL」の切り替えスイッチが付いていて、テープの種類によって設定を変えていたことも懐かしい思い出です。
お年玉で念願のウォークマンを買ったときは本当にうれしくて、いつもそばに置いていました。自分の好きな音楽を外へ持ち出せることが楽しくて、今でいうスマホを初めて手にしたときのような特別な存在だったと思います。
それほど大切にしていたウォークマンなのに、いつから使わなくなったのか、今となっては思い出せません...。カセットテープからCDへ、そしてデジタル音楽へと時代が変わり、気が付けばスマホやYouTubeで音楽を聴くことが当たり前になっていました。
だからこそ、現在もウォークマンが販売ランキングの上位に入っていることを知ったときは意外でした。音楽を楽しむ方法がこれほど便利になっても、専用プレーヤーを必要とする人がいることに、時代が変わっても残り続ける価値があるのだと感じます。
私は、ウォークマンの価値は音質の良さだけではなく、音楽を聴く時間そのものを大切にできることにもあると思います。スマホなら動画を見たりSNSを開いたり、さまざまなことができますが、音楽専用機を持つ人には、好きな音楽と向き合う時間を楽しみたいという気持ちもあるのでしょう。
そのうえで、65万円の高級ウォークマンについては、音質を徹底的に追求する製品を開発し続けることに意味があると考えています。最高峰の製品を作るために試行錯誤を重ね、その過程で得られた技術を手頃な価格帯の製品にも取り入れていくことは、長年オーディオ機器を開発してきたソニーだからこその強みです。
気になるのは、若い世代が購入できるウォークマンを今後も作り続けてくれるかという点です。お年玉やアルバイト代を貯めて憧れの製品を購入し、何年も大切に使う。そんな経験ができる製品も残してほしいと思います。
現在のA300シリーズをより使いやすく進化させ、音楽配信サービスとCDから取り込んだ楽曲を快適に楽しめる製品として発展させる。さらに店頭でスマホとウォークマンを同じ楽曲、同じイヤホンで聴き比べられる機会が増えれば、購入する価値を自分の耳で確かめられるでしょう。
スマホで音楽を聴くことに満足している人は、そのままスマホを使えばよいと思います。ウォークマンを選ぶのは、音質や操作性、自分の音楽ライブラリー、あるいは音楽を聴く時間そのものに、数万円を支払うだけの価値を感じた人たちです。
かつてウォークマンを買ったときの喜びを思い返すと、これからもソニーには、高級オーディオの技術を追求すると同時に、若い人が憧れ、頑張って手に入れたいと思える製品を作り続けてほしい。65万円の新型ウォークマンの登場をきっかけに、そんな思いを新たにしました。
